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薄れる愛校心 講義で鼓舞 大学の歴史や校歌…早慶戦観戦必修まで
 事務局から   61年度卒  - 06/8/24(木) 12:56 -

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   産経新聞掲載記事:朝刊から
平成18(2006)年5月21日[日]


 薄れる愛校心 講義で鼓舞 大学の歴史や校歌…早慶戦観戦必修まで
 

 愛校心を育てようと、自校の歴史を学ぶ「自校教育」を講義に取り入れる大学が相次いでいる。愛校心が発露される場でもある東京六大学野球の平均観客数(春季)は過去五年間で四割も減少しており、早稲田大では昨春から早慶戦の観戦を必修とする講義も登場した。自校教育増加の背景を探ると、学校だけではなく、共同体意識が欠落傾向にあるといわれる現代の学生気質も浮かび上がってくる。
 早大が昨春から始めた講義の名称は「早稲田を知る」。オムニバス形式で創立者の大隈重信などを学ぶもので、半期で二単位が取得できる。「校歌・応援歌」や「早稲田スピリッツ」の講義もあり、東京六大学野球の早慶戦を履修の前提としている。歴史を振り返らせる内容が多い他大の授業より、愛校心高揚の狙いが際立っている。授業後のアンケートでは「学校への愛着がわいた」との回答も相次いだ。
 慶応義塾大は平成十三年度から、湘南藤沢キャンパスで「慶應義塾入門」を開講。同年度から新設した看護医療学部の一年生は必修科目とした。「キャンパスが本部から離れた場所にあり、母校の歴史や伝統を感じにくいため始めた」(広報担当者)という。
 秋田大の大川一毅助教授による昨年度の調査によると、国立大学の四割で「自校教育」の講義を実施。目的(複数回答、私大も含む)としては「自学の目的・理念・使命の周知」が61%で最も多く、42%の学校が「愛校心・帰属意識の涵養(かんよう)」を理由にあげている。
 愛校心の希薄化は、東京六大学野球の観客数にもあらわれている。試合ごとの観客数に基づき算出した過去五年間の春季リーグの平均観客数は、平成十三年が一万八百八十五人だったが、翌十四年には一万人を割り、昨年はわずか六千六百四十六人にまで落ち込んだ。五年間で四割減ったことになる。
 母校の校歌を知らない学生も増えている。中央大広報課によると、鈴木敏文理事長が今年の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)に足を運んだところ、校歌を歌えない学生が目立った。このため鈴木理事長は対応を指示。同大では学内の電子掲示板で定期的に校歌を流す検討を始め、校歌を広く知ってもらう構えだ。
 国立大学で初めて自校教育を開始した九州大学の折田悦郎教授は、自校教育の増加について「愛校心が薄れたことに大学が危機感を持った結果ではないか。プライドの植え付けは良くないが、自分にかかわる事柄を知って初めて物事に対応できる」と指摘する。
 今春から自校史を学ぶ授業を本格的に導入し、学内では全学的な必修化を求める声もあがっているという青山学院大の仙波憲一副学長は、「最近の学生は愛校心以前に共同体意識自体が欠如しているのではないか」と分析。そのうえで「自校史の導入は自校に対するアイデンティティーの涵養につながる」と話す。
 一方、秋田大の大川助教授は自校教育増加の理由について、「OBの寄付金集めにもつながるし、大学経営戦略の一環としても行われている」と大学経営の側面も指摘している。(小田博士)
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